「モチベーション3.0」を読んだー

January 03, 2015

ダニエル・ピンクの「モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか」を読んでみました。推薦図書だったので。前半は研究結果の羅列が多くてこの調子で行くのかと焦ったけれど、途中から「わかってるじゃん」という感じで好意的に読み進めることができた。

面白いと思った所(個人的なメモです)

ちょっと書き出してみる。書きだしたところなど、報酬による動機づけは返って良くないなどという言葉が出てくるが、本書が報酬を否定しているわけではない。その報酬をどういう位置づけにするかというあたりが語られている。

わたしたちは、石炭や石油が経済の発展を促してきたと考えがちだが、ある意味、産業の世界では、アメとムチもエネルギー源として利用されてきたのだ。

p.42

ハーバード・ビジネススクールのテレサ・アマビルなどの研究者は、外的な報酬と罰 - つまりアメとムチ - は、アルゴリズム的な仕事には効果を発揮するが、ヒューリスティックな仕事にはむしろマイナスに作用するおそれがあると気づいた。この種の課題 - 新たな問題を解決したり、独創性に飛んだ製品を想像することなど - は、ハーロウの唱えた第三の動機付けに頼るところが大きいからだ。アマビルはこれを、創造性に関する<内発的動機付けの法則>と呼び「内発的動機づけは創造性に繋がり、統制された外発的な動機付けは創造性を奪う」と主張した。

p.57

つまり、報酬は行動に対して奇妙な作用を及ぼすのだ。興味深い仕事を、決まりきった退屈な仕事に変えてしまう。遊びを仕事に変えてしまう場合もある。よって、報酬により内発的動機付けが下がると、正解や創造性や、高潔なふるまいでさえも、まるでドミノ倒しのようになるおそれがある。これを<ソーヤー効果>と呼ぶことにしよう。

p.65

ソーヤー効果と言ったのは、ペンキ塗りを面倒くさいと思ったトム・ソーヤーが自分の仕事を面白いと友達にアピールして、友達がりんごをあげてでもやりたいと思うようになる例から。この場合、仕事を遊びに変えている。ソーヤー効果には仕事を遊びに変える場合と、遊びを仕事に変える場合の二面性がある。

「人は、他人の意欲をかきたてて行動を促し、そこから利益を得ようとして報酬を用いるが、かえって活動に対する内発的動機づけを失わせるという、意図せぬ隠された大小を払う場合が多い」

p.69

これは実体験としてわかるかも。

つまりモチベーションに関する特殊な科学を理解せずに、報酬を提示することは非常に危険だ、という方が正しい。こうした状況で交換条件付き報酬が用いられた場合には、好影響よりも悪影響をおよぼすほうが多い。本物のモチベーションを構成する要素 - <自立性><マスタリー(熟練)><目的> - を無視することにより、達成の可能性が制限されてしまうのだ。

p.81

プロジェクトの最初の段階で、報酬や条件付きの報酬を提示すれば、どうしても問題解決よりもそちらに関心が集まる。しかし、業務が完了してから報酬(ごほうび)を告げれば、その危険は小さい。言い換えれば、「条件つき」の報酬が逆効果を招く場合には、「思いがけない」報酬を与えれば良い。

p.103

「(morizotter略)父の世代は、人を資源と見ています。つまり従業員は、家を建築するときに必要な一律の寸法の規格材なのです」と、ガンサーは語る。「わたしにとってはパートナーシップです。従業員は経営資源ではありません。パートナーなのです。」パートナーなら、誰も皆自律的に自分の人生を管理する必要がある。

p.128

昔から、「人財」という言葉を聞く度に違和感を感じていた。その理由がわかった。人は会社の財産ではなくて、会社の人のパートナーだからだー。この辺りは結構同意した。僕の考え方としては、経験の浅い人も含めてチームになったらパートナー。


フロー(<モチベーション3.0>が必要とする深く熱中する感覚 morizotter注)は魂にとっての酸素にあたる。

p.185

<モチベーション3.0>では、金銭の最高の活用法は、金銭の問題を視界から消すことだからだ。

p.234

金銭の面倒事が視界から消えて(報酬がないのが良いと言っているわけではない。単純に面倒事が見えなく慣れば良い。)、自立性に任されたらなんと良いことか!

その他

フレックスや権限移譲を管理側が「ご親切にも」権力の一部を分け与えてあげる「信用詐欺」と呼んでいること。マネジメント自体の否定(p.133あたり)が面白い。マネジメントを否定して何をするかというと、「自己決定」を推奨する。

本筋とはずれるけれど、「基本的な報酬(ベース)ラインを十分に保証する必要がある。つまり、同様の組織で同様の仕事をしているものと比較した場合に、基本的な給与が適正で公平でなくてはいけない(p.102)」ってところで、まぁ確かにと思った。自分が経営することを考えた場合、給与って難しいけれど、搾取したくないし、できればたくさんあげたいけれど、バランスとか考えるとこういう感じで決めていけばよいのかななんて思った。

必読の15冊から他の本も読んで見るかも。

自分用ポスターをつくろうというような箇所があって、そこで紹介されているURLから自分用ポスター作ってみた(印刷はしてないけど) => http://imgur.com/CsyjqiN


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Written by morizotter who lives and works in Tokyo building useful things. You should follow them on Twitter